2006年08月16日
ショートロッド。
昨日の更新にちょっと出てきたABU/ウルトラマグⅠとMr.DON/スタンプヒッターSH56。僕の自慢のプチオールドタックルである。端正で清潔な雰囲気のガングリップとメカメカ&ゴージャスなウルトラマグ。正統オールド派にとっては邪道であろうが、僕はいまだに見とれてしまう。
このタックルは同時に買い求めたものだが、当時は既に軽量なブランクスルーのダブルハンドルロッドも出てきていたにもかかわらず僕はこの旧式ロッドを選んだ。Mr.DONは子どもの頃からの憧れだったのだ。
「つりトップ」など子どもの頃に見た雑誌に掲載されていたエビスフィッシングの広告で、この組み合わせが美しい写真とともに紹介されており、それを溜息付いて見惚れては「いいなあ」と呻く小学生。こっちはあんまり美しい姿とは言えないが、僕の心に強烈にインプットされてしまったこのタックルを手に入れたときの喜びは今でも覚えている。
本当は同社のフローティングセンスFS56が欲しかったのだが、既にモデル末期か廃盤品でどこにも置いてなかった。だから実はまだ心のどこかに満たされないものがあるのだけど、SH56は実際に使うには対応ルアーの幅も広く、しなやかでいて強く、大活躍してくれた。モデル自体はおろかエビスフィッシングそのものが晩年だったためか値引きもしてくれて、いい買い物をしたと思う。
今では大事に家の中に仕舞い込んで実釣に使うことはないが、たまに気が向いて手に取ると、その「しっくり感」は尋常ではない。若い頃に使い込んだと言うこともあるが、ぴったりと手に馴染み、最新のタックルなんていらないんじゃないかと思う。
僕は確かこのタックルを96年ぐらいまで使っていたはずだ。特に不満もなく、ジグ&ワームからトップウォーターまであらゆる釣りに使っていた。バスブームとトーナメントの隆盛を横目で眺めつつ、ふんだ最新タックルが何だ。僕は由緒正しい第二次バスブーム・チルドレンなんだぜ。と非常にしょぼい自尊心から素直になれず、ほとんど釣具店にも行かず、昔ながらのルアーで釣りを細々と続けていた。
その辺の話はまた改めて書くけれど、その頃つい何の気なしに入った釣具店でメガバス/F2-57Xを触ってしまい何だこれ。持ってないみたいに軽い。まやかしか幻覚か。天狗じゃ天狗の仕業じゃと衝撃を受けてから最新タックルに目を開かれていくのである。
しかしながらその自分史におけるタックルのルネサンス期の当初は、まだ6フィートを超える竿を敬遠していた。飛躍的に軽くなっていて、振り切れるし扱えるとは理解していても、ダブルハンドルキャストにまだ馴染めず、狙ったスポットを打ちたいと思ったら必然的に慣れ親しんだシングルハンドのものを選ぶことになったのだ。
僕が最初に手にした最新タックルはそのF2と、エバーグリーンのコンバットスティックインスパイア・ICSC-58M“バイオネット”だ。この2本はとても軽く、シャープでしゃきっとしていて、感度も良く、飛距離も圧倒的だった。まさに現代的なロッドに触れたという感じで、いまだにこの2本が僕の中の基準になっている。
高弾性カーボンは初めのうち、反発力が強すぎてアキュラシーを高めるのに苦労したが、すぐに慣れることができたのはこの2本のレングスも大きい。取り回しやすく、何より5'6"を基準にしていた僕が違和感なく振り切れる長さだった。僕はこれを皮切りにロングロッドへとステップを踏んでいくことができた。
今では標準の長さが6'6"と言われるほどロングロッドが市場に溢れ、6フィートはショートロッド扱いになった。5フィート台を使うアングラーはあまり見かけなくなったが、僕は今でも短竿が好きだ。自分の腕の延長として意のままに扱える感覚は捨てがたい。
アキュラシーの向上や軽量によるメリットは言うまでもない。ロングロッドに対し、ラインメンディングや障害物のかわしやすさ、長尺にすることでのパワー感などで劣る面ももちろんあるが、飛距離に関してはリールとのセッティングさえ決まれば遜色ないと思う。僕はバイオネットにABUのUC4600と14lbsラインという組み合わせで、バイブレーションプラグなら60m飛ばしていた。問題は投げ方やセッティングだ。
陸っぱりでロングロッドが有利なのは、飛距離よりも足場が高い場所が多いなどの理由があるからだ。確かに長竿は使っていて楽だ。しかし短竿の魅力も確かにある。特に初心者は、6フィート未満から始めるとキャストの感覚も掴みやすく、「ロッドを振り切る」という基本をマスターできると思う。
キャストが安定しない人の多くは、ベリー部分にルアーの重みをしっかり乗せて真正面めがけて振り抜くという基本ができていないことが多い。近年の進化したタックルなら、適当に振ってもそれなりに飛距離は出てしまうし、投げられているような気分にはなれるが、もう一段遠くや、ピンスポットをシビアに狙う場合には本性を露呈してしまう。
上手い人があるポイントを一度、通しただけでその場所を見切れるのは、「ここでしか食ってこない」ピンポイントを見極め、正確なキャストでそこを通しているからこそだ。ミスキャストばかりでは魚が食う体勢に入れないばかりか場を荒らしてしまう。いい釣りは正確なキャストあってこそである。
じゃあ長年ショートロッドで鍛えてきた僕なんかはさぞかしキャストが上手いだろうと思うけど、現実はへなへなであって、いまだに基本がなっていないのでミスキャストばかり。どうもこの10年で高性能タックルに頼ってばかりで退化したらしく、僕が最新の道具を追い求める理由もここにある。
人は堕落する生き物なのである。適当に投げて楽に釣れれば面倒がなくてよい。こんなことではいかーん。僕はもう融通の利かないスタンプヒッターと、アンチリバースすらついていないウルトラマグを再びメインタックルにして修行をし直すべきだと思う。そしたら少しはましになるだろう。
でもさ、思い出のタックル、もう20年ものだしくたびれてるし、もし破損したりしたら大変だ。僕のかけがえのない宝物なのだ。だからスペアというか代わりに実釣に使うMr.DONを探さなきゃ。とか言ってヤフオク漁り始めたらきっと止まらなくなってたくさん買っちゃって大変なんだけど、僕はどうすればいいの。
あ。蛇足ですが僕が釣りをしていてシングルハンドキャストをマスターして良かったと思うことがあって、草野球の時に、僕はチーム内で上位の投球コントロール精度を誇るのですよ。経験者曰く肘の使い方がいいんだって。確かに肘から先を真っ直ぐ対象に向けて振り下ろすのはキャストも送球も同じかもしれない。制球難のピッチャー氏は試してみてはいかが。
「つりトップ」など子どもの頃に見た雑誌に掲載されていたエビスフィッシングの広告で、この組み合わせが美しい写真とともに紹介されており、それを溜息付いて見惚れては「いいなあ」と呻く小学生。こっちはあんまり美しい姿とは言えないが、僕の心に強烈にインプットされてしまったこのタックルを手に入れたときの喜びは今でも覚えている。
本当は同社のフローティングセンスFS56が欲しかったのだが、既にモデル末期か廃盤品でどこにも置いてなかった。だから実はまだ心のどこかに満たされないものがあるのだけど、SH56は実際に使うには対応ルアーの幅も広く、しなやかでいて強く、大活躍してくれた。モデル自体はおろかエビスフィッシングそのものが晩年だったためか値引きもしてくれて、いい買い物をしたと思う。
今では大事に家の中に仕舞い込んで実釣に使うことはないが、たまに気が向いて手に取ると、その「しっくり感」は尋常ではない。若い頃に使い込んだと言うこともあるが、ぴったりと手に馴染み、最新のタックルなんていらないんじゃないかと思う。
僕は確かこのタックルを96年ぐらいまで使っていたはずだ。特に不満もなく、ジグ&ワームからトップウォーターまであらゆる釣りに使っていた。バスブームとトーナメントの隆盛を横目で眺めつつ、ふんだ最新タックルが何だ。僕は由緒正しい第二次バスブーム・チルドレンなんだぜ。と非常にしょぼい自尊心から素直になれず、ほとんど釣具店にも行かず、昔ながらのルアーで釣りを細々と続けていた。
その辺の話はまた改めて書くけれど、その頃つい何の気なしに入った釣具店でメガバス/F2-57Xを触ってしまい何だこれ。持ってないみたいに軽い。まやかしか幻覚か。天狗じゃ天狗の仕業じゃと衝撃を受けてから最新タックルに目を開かれていくのである。
しかしながらその自分史におけるタックルのルネサンス期の当初は、まだ6フィートを超える竿を敬遠していた。飛躍的に軽くなっていて、振り切れるし扱えるとは理解していても、ダブルハンドルキャストにまだ馴染めず、狙ったスポットを打ちたいと思ったら必然的に慣れ親しんだシングルハンドのものを選ぶことになったのだ。
僕が最初に手にした最新タックルはそのF2と、エバーグリーンのコンバットスティックインスパイア・ICSC-58M“バイオネット”だ。この2本はとても軽く、シャープでしゃきっとしていて、感度も良く、飛距離も圧倒的だった。まさに現代的なロッドに触れたという感じで、いまだにこの2本が僕の中の基準になっている。
高弾性カーボンは初めのうち、反発力が強すぎてアキュラシーを高めるのに苦労したが、すぐに慣れることができたのはこの2本のレングスも大きい。取り回しやすく、何より5'6"を基準にしていた僕が違和感なく振り切れる長さだった。僕はこれを皮切りにロングロッドへとステップを踏んでいくことができた。
今では標準の長さが6'6"と言われるほどロングロッドが市場に溢れ、6フィートはショートロッド扱いになった。5フィート台を使うアングラーはあまり見かけなくなったが、僕は今でも短竿が好きだ。自分の腕の延長として意のままに扱える感覚は捨てがたい。
アキュラシーの向上や軽量によるメリットは言うまでもない。ロングロッドに対し、ラインメンディングや障害物のかわしやすさ、長尺にすることでのパワー感などで劣る面ももちろんあるが、飛距離に関してはリールとのセッティングさえ決まれば遜色ないと思う。僕はバイオネットにABUのUC4600と14lbsラインという組み合わせで、バイブレーションプラグなら60m飛ばしていた。問題は投げ方やセッティングだ。
陸っぱりでロングロッドが有利なのは、飛距離よりも足場が高い場所が多いなどの理由があるからだ。確かに長竿は使っていて楽だ。しかし短竿の魅力も確かにある。特に初心者は、6フィート未満から始めるとキャストの感覚も掴みやすく、「ロッドを振り切る」という基本をマスターできると思う。
キャストが安定しない人の多くは、ベリー部分にルアーの重みをしっかり乗せて真正面めがけて振り抜くという基本ができていないことが多い。近年の進化したタックルなら、適当に振ってもそれなりに飛距離は出てしまうし、投げられているような気分にはなれるが、もう一段遠くや、ピンスポットをシビアに狙う場合には本性を露呈してしまう。
上手い人があるポイントを一度、通しただけでその場所を見切れるのは、「ここでしか食ってこない」ピンポイントを見極め、正確なキャストでそこを通しているからこそだ。ミスキャストばかりでは魚が食う体勢に入れないばかりか場を荒らしてしまう。いい釣りは正確なキャストあってこそである。
じゃあ長年ショートロッドで鍛えてきた僕なんかはさぞかしキャストが上手いだろうと思うけど、現実はへなへなであって、いまだに基本がなっていないのでミスキャストばかり。どうもこの10年で高性能タックルに頼ってばかりで退化したらしく、僕が最新の道具を追い求める理由もここにある。
人は堕落する生き物なのである。適当に投げて楽に釣れれば面倒がなくてよい。こんなことではいかーん。僕はもう融通の利かないスタンプヒッターと、アンチリバースすらついていないウルトラマグを再びメインタックルにして修行をし直すべきだと思う。そしたら少しはましになるだろう。
でもさ、思い出のタックル、もう20年ものだしくたびれてるし、もし破損したりしたら大変だ。僕のかけがえのない宝物なのだ。だからスペアというか代わりに実釣に使うMr.DONを探さなきゃ。とか言ってヤフオク漁り始めたらきっと止まらなくなってたくさん買っちゃって大変なんだけど、僕はどうすればいいの。
あ。蛇足ですが僕が釣りをしていてシングルハンドキャストをマスターして良かったと思うことがあって、草野球の時に、僕はチーム内で上位の投球コントロール精度を誇るのですよ。経験者曰く肘の使い方がいいんだって。確かに肘から先を真っ直ぐ対象に向けて振り下ろすのはキャストも送球も同じかもしれない。制球難のピッチャー氏は試してみてはいかが。
Posted by ポンプ小屋マスター at 20:05│Comments(6)
│道具
この記事へのコメント
ホント皆さん物持ちがいいですね~
ミスタードンっていえば私はトラウトクイーンというトラウトロッド持っていましたよ
当時、2万円を境に保証書が付くことが多かったんですが
私のトラウトクイーンは1万5千円で保証書がついていて、ユーザーありきのメーカーってイメージがありましたねー
古い物は売ってしまって・・ないです(物持ち悪いのが自慢です・・
投げ竿にはマミヤ・ランサープラスを使ってます(知ってるかなーマイナーデス
ミスタードンっていえば私はトラウトクイーンというトラウトロッド持っていましたよ
当時、2万円を境に保証書が付くことが多かったんですが
私のトラウトクイーンは1万5千円で保証書がついていて、ユーザーありきのメーカーってイメージがありましたねー
古い物は売ってしまって・・ないです(物持ち悪いのが自慢です・・
投げ竿にはマミヤ・ランサープラスを使ってます(知ってるかなーマイナーデス
Posted by 班長 at 2006年08月16日 21:28
オールドものに手を出すと・・・
怖いことになりまっせ~。
ハクはタックルのオールドにはまだ手を出していませんが、
カメラのオールドには手を出したため、大変なことになりました・・・(;´Д`A ```
気をつけてください~。
しかし、アンティークって・・・美しい!!(・∀・)
怖いことになりまっせ~。
ハクはタックルのオールドにはまだ手を出していませんが、
カメラのオールドには手を出したため、大変なことになりました・・・(;´Д`A ```
気をつけてください~。
しかし、アンティークって・・・美しい!!(・∀・)
Posted by ハク at 2006年08月16日 22:35
こんばんわ!
私も、Mr.DON(名前は忘れましたが)&アンバサダー1000で野池&川へ行ってましたよ!エビスフィッシング憧れでしたね懐かしいです。
ロッドは既に折れてしまいましたが、リールは残ってます。
私も、Mr.DON(名前は忘れましたが)&アンバサダー1000で野池&川へ行ってましたよ!エビスフィッシング憧れでしたね懐かしいです。
ロッドは既に折れてしまいましたが、リールは残ってます。
Posted by k-42 at 2006年08月16日 22:51
皆さん、お返事遅れまして・・・
>班長さん
トラウトクイーン、僕も持ってますよ!
TQ56っていう短い奴です。意外と張りが強かったので昔、バス釣りに活躍してくれました。
物持ちがいいって言うか、釣り道具はどうしても捨てられないんですよね・・・
売るのはいいんですが、愛着が生じたら手放せなくなります。困ったものです。
>班長さん
トラウトクイーン、僕も持ってますよ!
TQ56っていう短い奴です。意外と張りが強かったので昔、バス釣りに活躍してくれました。
物持ちがいいって言うか、釣り道具はどうしても捨てられないんですよね・・・
売るのはいいんですが、愛着が生じたら手放せなくなります。困ったものです。
Posted by ポンプ小屋マスター at 2006年08月17日 00:46
>ハクさん
ご忠告ありがとうございます。確かにカメラは恐ろしい。考えただけでも恐ろしい。
僕はちょっとだけエレキギターにはまっていたけれど、こちらも50年代、60年代は大変なことになります。
資本力がないので助かっていますが・・・
美しさに抗えなくなったらどうしよう・・・
ご忠告ありがとうございます。確かにカメラは恐ろしい。考えただけでも恐ろしい。
僕はちょっとだけエレキギターにはまっていたけれど、こちらも50年代、60年代は大変なことになります。
資本力がないので助かっていますが・・・
美しさに抗えなくなったらどうしよう・・・
Posted by ポンプ小屋マスター at 2006年08月17日 00:48
>K-42さん
僕もあの赤い1000が欲しかったのです、本当は。
ウルトラマグを買った後に、友達の1000を貸してもらって投げたら、これで充分じゃないかって思いました。同じ形だし。
ブッシュベアリングこそ本来のアンバサダーと言う意見もありますが、なんとなくうなずけます。
それに1000は軽かったし・・・
大事にしてあげてくださいね~
僕もあの赤い1000が欲しかったのです、本当は。
ウルトラマグを買った後に、友達の1000を貸してもらって投げたら、これで充分じゃないかって思いました。同じ形だし。
ブッシュベアリングこそ本来のアンバサダーと言う意見もありますが、なんとなくうなずけます。
それに1000は軽かったし・・・
大事にしてあげてくださいね~
Posted by ポンプ小屋マスター at 2006年08月17日 00:51
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