中途半端【釣行記】

ポンプ小屋マスター

2006年09月07日 23:45

よく考えたら、9月になってまだ僕はバスを釣っていない。

これは由々しき事態である。僕は最近イカばっかり釣りに行って、本当にこのブログがバスフィッシングカテゴリにあるのがおかしいと思うぐらいで、でもイカ楽しいよイカ。ずしんと乗るよ。とか脳天気にシャクってる場合じゃなーい。

僕だってたまにはバス釣りたい。海ばっかり行ってると、どうもあのマッディなH川に心が動かなくなるんだけど、たまには靴を泥まみれにして川岸でヤブ蚊に刺されまくったり、蜘蛛の糸が顔に掛かって声にならない悲鳴を上げたり、したくねえな。そういうのはしたくないけどバスは釣りたい。

昨日の激しい雨が、停滞してアオコだらけになった流れをうるおし、少しは活性も上がっているだろう。濁りはあるだろうが普段から濁っている川である。支流から新鮮な水が流れ込んでいる場所を探して、久々にH川を訪れた。

数カ所、様子を見て、下流域にある小規模な流れ込みが一番条件が良さそうだった。幅10mぐらいの流れ込みからは少し白濁りだけどどんどん水が流れていて、小魚がたくさんいる。大小のコイも群れている。むしろ餌釣りスポットとして人気の場所だけど、流れの周辺をうろついている見えバスを見つけたのでここに決めた。

OSP/バジンクランクを皮切りに、いろんなルアーで探ってみる。メガバス/X-80トリックダーターを小トゥイッチさせつつ、時々流れに漂わせているとすっとラインが引っ張られた。スイープに合わせるが乗らない。吸い込みが弱いようだ。

ここは足場もいいので、いつもたくさんの人が攻めている。ハイプレッシャーな場所で、流れに漂わせた細長いものに小さなバイト。もう何を使えばいいか一目瞭然である。あれだ、あれ。ヘドン/オリジナルザラスプーク。

って細長いしか合ってねえじゃねえか。阿呆なことを言っている場合ではない。もちろん僕はゲーリーヤマモト/ヤマセンコー3"をチョイス。いくら餌だ反則だと言われようが聞く耳は持たない。魚に触ることが優先である。ブログ的にもバスの写真が欲しいじゃないか。

と速やかに3センをリグって1投目、しようとしたところで携帯電話が鳴る。とても嫌な予感がする。やっぱり会社の上司からであった。「悪いがあの件、今から始めるから」

ってことは仕事復帰かよおおおお。そんなのってない。これはひどい。だって僕はまだ30投ぐらいしかしてないし、3センはまだ投げてもいない。せめて僕に魚を触らせておくれよ。

しかしそこはしがない会社員。「了解です。じゃあ事務所戻ります」と答えるしかない。速やかに仕事をするのだ。まあしょうがねえよな、あれもやっとかないと後で面倒だしな、とっとと帰ろう。とか思いつつそれと裏腹にいつの間にか僕の右手は3センを水面に投入しておった。自分でも驚いた。早く帰らないと面倒だぞ。釣りしてる場合じゃねえぞ。

全くその通りである。早く帰らないと上司から嫌味を言われる。でも僕だって今日はもう仕事終わったつもりだったんだから、怒られる筋合いはないのである。なのであと3投。ラス3。これで諦めて帰るから。

まったく往生際が悪い。釣りに対する執念と言うよりはいっそ意地汚い。これは他のことに例えるとどうであろう、マクドナルドで月見バーガーが食べたかったら売り切れで、隣町の別店舗まで行くとか。大差で負けている野球の試合で、最終回に打席に立ちセーフティーバントで出塁、打率を稼ごうとするとか。いずれにしても大人とは思われない。

とか考えていたら2投目、流れを横切って淀みに入ったところでラインがふけた。よいしょっとロッドを引くと、ずごんと重くなる。あと3投で釣れてしまう。3センは実に簡単である。もはやルアーとは呼べないのではないかと真剣に思う。

魚はけっこう重い。これはもしや良型か。ライトラインでの釣りは久しぶりなのでわりと慎重にやり取りする。ごんごんと魚は重苦しく底へと向かう。頭をぐんぐんと振っているのがロッドに伝わる。底?頭?

じゃあ魚はアレだ。とか思って寄せてきたら案の定、ナマズであった。この硬いナマズの口にULロッドできっちりフックアップするのだから、デコイ/S.S.フックはやっぱりすごい。それでいて今まで、魚に伸ばされたことがないぐらい強い。僕の欠かせない相棒だ。

ナマズは55cmだった。スピニングで釣るには、なかなかいいサイズである。陸上で暴れて泥だらけになってしまったのでごめんなと謝って、速やかにリリースする。さてボウズは免れた。次はバス釣りたい。

とか思ったら僕は仕事に戻らなければならないのであった。悲しすぎる事実。不完全燃焼の寂しさ。そこに魚がいるのに僕は仕事だなんて、こんな不条理があるのかい。後ろ髪を引かれつつ川を後にする。

どうも何者かが僕のバス釣りを邪魔しているようである。それなら僕にも考えがある。イカ釣りなら邪魔されないんじゃないのかい。じゃあ明日はイカだ。とか言ってる限り僕はきっと、ずっとバスを釣ることができない。

Tackle Data:
ダイコー/ギャレットGLS-602UL+ダイワ/ルビアス2004+サンライン/ベーシックFC5lbs

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