朝に【釣行記】

ポンプ小屋マスター

2006年09月20日 00:24

晴れた途端に仕事が忙しくなるのは、何かの陰謀に違いないと疑心暗鬼に余念がない僕だけど、時々どばっと集中的に仕事が忙しくなるのはよくあることだ仕方ない。でも釣りに行けないね。困ったね。

それならそれで早起きして釣りに行っちゃうんだからちっとも困ってない。現金なものだ。いや何か違うな。身勝手なものだ。こないだまで朝早く起きられないとか故障を申し立てては惰眠を貪っていたのにね。

とりあえず午前6時に海に着く。とっくに日は昇っている。よく考えれば世間様的にはちっとも早い時間じゃないけれど、いつだって出勤ぎりぎりまで寝ている僕にとっては劇的な早起きには違いない。爽やかな潮風が頬を撫でる。いいねえ。生きてるねえ僕。

どんどん餌木を投げてはシャクっていて、足下をふと見ると久々にイカを視認した。いち、にい、・・・4匹。200g前後だろうか、テトラの上辺りを無邪気におっかけっこしておる。

こいつたちを釣るつもりはない。せめて倍ぐらいにならないと手は出さない。それよりもやっと、新子の群れを見たのが嬉しい。ことし初めてである。やっと海が秋になったのかも知れない。

君たち、おっかけっこの邪魔はしないからどんどん大きくなりなさい。できれば2kgぐらいに立派に育ってから、あのときは見逃してくれてありがとうございましたとお礼に僕の餌木に乗りなさい。約束だよ。

などと虫のいいことを考えつつ気付けば1時間。何のアタリもない。潮の加減かイカの機嫌か。昼ごろの干潮に向けて潮は動いているけれど、何も返答がないんだから仕方ない。僕はシャクりの練習に飽きてフォール中、ふと足元を見た。

まだ新子のグループはそこにいて、波に漂ったり鬼ごっこをしている。無邪気なものだ。しかしねえ君たち、ちょっと暇だとは思わないかね。その、なんだ、良かったら僕と少し遊んでみないか。なあに心配することはない。ちょっとこの餌木に乗ってみるだけだ。すぐにおうちに返してあげるから。

いかん。これでは変質者だ。しかもロリ入ってる。即座に逮捕である。しっかりしろ僕。捕まるな逃げろ僕。とかワケ分からんことを言いつつフォールしきったところで強シャクりを入れてみる。ずむんと竿が曲がった。おお。イカおった。

しかも結構、強い引きである。これはいい型かもわからんね。やっぱチビにかまってる暇はない。ぐいぐいと海煙のトルクでイカは浮上してくる。そら、ざばあと海面に出るぞ、というところで突然、ふっと軽くなった。

あああああ。やっちまった。久々のバラシだ。触腕だけ乗っていたのかもしれぬ。情けない気持ちで餌木を回収してみると、案の定だった。おみやげに触腕だけが残っていた。すなわちゲソのみ。これほど情けない獲物も他にないといつも思う。しかも小さいじゃねえか。

やっぱりアレだよ、集中力を欠いていたんだよ。足下の子どもたちに気を取られてる場合じゃないんだよ。いつだってモンスターハンティングは真剣勝負なんだ。っていつの間に僕がモンスターハンターになったのか知らないけど、触腕をなくしたイカに謝りつつ、僕はキッと海を見る。馬鹿にしやがって今に見ろ。今すぐ3連発ぐらいしてやる。

モンスターハンターたる(だから)僕が本気出したらこんなもんじゃない。もうゲソなんて釣らない。この海のイカ資源を根こそぎ釣りまくってペンペン草も生えないようにしてやる。後悔しても遅いぜ。うははは。

もちろんオチとしてはここで2号の餌木を結んで足下に落とすのであって、なんでやねーん結局チビ釣ってんのかよーというツッコミを待ってうずうずしつつ、誰がツッコミ係なんだよというセルフツッコミを入れつつ、僕は海中を笑顔で覗く。

海中に新子の姿は消えていた。

ああまあこんなもんだよな。児童虐待で通報されるよりマシだよな。しかしこの、ネタが空振った時って釣れないよりイタイよな。とかしみじみ思う朝。もうすぐ仕事の時間です。

Tackle Data:
メガバス/XOR海煙C-83MH+シマノ/バイオマスターMg2500HGS+デュエル/エックスドライブ0.8号+同/フューズフロロ10lbs

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