台風一過。清々しい秋の空が高く広がる、かと思ったら夏がやってきた。強い直射日光が照りつけ、日向で30度近い。なんなんだろうもうやってらんない。
それでも日陰に入ると風が涼しく、盛夏よりはまだマシである。台風の影響で川も海も濁流がはびこり、まだ釣りには行けないけど、あと少しの辛抱だと我慢をする。気持ちよく釣りができる季節はもうそこまで来ているのだ。
で、空いた時間にはやっぱりタックルの整理に余念がない。今日は餌木の整理である。気付けば結構な量の餌木が集まっている。たまにしかエギングに行かなかった時期には数本だけで釣りをしていたのが信じられない。
釣り場に餌木を携行するには、
Kugelのminiエギバッグを使っている。Kugelはバッカンで有名な
タカ産業のルアー/エギングのブランドだが、なかなか便利なものが多い。このminiバッグはズボンに掛けられるカラビナがついていて携行性が高い。餌木は詰めれば15本は入る。
このほか2~3個のエギケースに号数やタイプ別に入れ、必要に応じて入れ替えている。気に入ったものばかり使うので、あまり頻繁には入れ替えないが、やはり釣り場によっては重量や大きさを勘案しなければならない。その場のヒット餌木も存在する。
ヤマシタ(YAMASHITA) エギ王Q速
愛用する餌木は、もう何度も書いたヤマシタ/エギ王Q速3.5号。これの赤、虹、金テープがあれば文句はない。この餌木に出会ったからこそ深場をストレス無く狙えるようになり、ロッドもメガバス/XOR海煙C-83MHに行き着いた。水深5~10mでのキロアップ狙いと言うスタイルが構築されつつある。
それ以前に愛用していたのは林漁具/餌木猿シリーズと同/ボーイングスペシャル。3~3.5号で浅場のサイト狙いが主だった。イージーに釣れる手段だが、イカが見える範囲にいなければすぐ行き詰まる。バスで言えばシャローで目視確認できる魚だけを狙うスタイルだ。
イカでも戦略性に気付き始めたのはよいことだった。これまでは藻場や岩礁でも視認できるものしかうまく狙えなかったが、ヘビーウェイトの餌木で深場を釣り始めると世界が広がる。釣りがスピーディーになり、釣れるイカも大きくなる。今はこのスタイルが面白い。
ただ問題は、この釣りに慣れるとスローな釣りがかったるくなってしまうことだ。前にも書いたけど、がんがんとファストムービングを投げているとライトリグへの切り替えがうまくいかなくなるのと同じで、これは僕の能力の問題である。ノーマルな餌木の遅いフォールでないと釣れないイカはいつでも存在するのだから、この辺が今の課題だ。
餌木の選び方だけど、僕は正直言ってまだよく分かっていない。自分に合う餌木は確かにある。だが良し悪しは判断できない。一般にはよくダートするものが好まれるようだが、ほとんど上下動しかしない餌木でも釣っているし、フォールの姿勢もあまり差が出る印象がない。
あるいはこれは常識なのかもしれないが、僕は雑誌や本を読まないから疎いのであって、ご容赦ください。あくまで個人的だが、イカが最も鋭く反応するのは餌木が素早く浮上したときだと感じる。横方向へのダートは広範囲へのアピールや、移動距離を少なくして目前のイカを誘うためであって、本質的には上下動でこそイカが餌木を抱こうとするのではないか。
この辺はもっと釣り込まないと分からないのかもしれないが、多くの餌木はダートはともかく上方移動についてはそう致命的なものはない。そのため僕の餌木選びは実に適当である。いろんな餌木を試したが、気に入るかどうかは要は飛距離とジャーク時の抵抗感、何となく好きなカラーなどの個人的な理由でしかない。
ヤマシタと林漁具はその辺が僕に合っていたのだろう。しかし別にヨーヅリでもダイワでも大差はないと思う。この辺は使っていていい思いをしたメーカーやシリーズを何となく使うようになるという人も多いだろう。
だから僕はいろんな製品を試しつつ、無名メーカーの激安餌木などにも平気で手を出す。根掛かりが多いところなどには100円の餌木で充分だとばかりに特攻させる。際どいところを狙うためかそれでも結構釣れてしまうので、余計に判断基準が分からなくなるというのはある。
従って僕のエギバッグに常駐するのは3.5号ディープタイプぐらいのもので、そのほかはあらゆるタイプの餌木がぎゅう詰めに並ぶ。そういうものかもしれないけど、今はほとんど使わない3.5号スローシンキングタイプなどが2本も入っているのは明らかに僕の混乱を示している。
それに輪を掛けるように、この間も150円や200円の餌木を試し買いしてしまった。谷山商事のSuperNOVAブランドは前にも激安メバル竿を買ったけど、3.5号ファストシンキングタイプで見た目は結構よい。「二代目烏賊餌木蔵」と言うからには初代もあるのだろうけどよく知らない。このタイプは常用する上にボトム狙いで消耗が激しいので試してみたい。
もう一つはBishamonというブランドの「ロングダンサー」という餌木で、ボディがとてもスリムだ。3号相当のボディサイズ(ただし全長はそのまま)で3.5号16g。イカにプレッシャーを与えず、3.5号のキャスタビリティが手に入るのなら面白そうだ。スリムなため沈下速度も速く飛距離もアップするだろう。そこらの激安餌木とはまた違うコンセプトに興味がある。
こういう餌木でいつも釣れてくれれば経済的にもありがたいが、やはりタフな状況だと信じ切れなくて最後まで使い通せなくなるのが無名メーカーの弱いところだ(僕が弱いだけという説もある)。苦しいときはどうしてもブランド物に手が伸びる。エギ王で釣れなければ仕方ないと諦めもつく。
そんな中でも選択の幅を広げたくて、エギ王の新タイプを買ってみた。
ヤマシタ/エギ王JPはこの秋の新製品で、シャクってもダートせず垂直に高く舞い上がるのが最大の売りだ。何のことはない、エギング以前の伝統的な餌木そのものだが、ダートばかりを見慣れたイカには確かに新鮮かもしれない。
こうして僕のエギバッグは玉石混淆、何でもありのカオスにまた近づいていくのだけど、それはやっぱり自分の中に確固とした判断基準がないからかもしれない。今のカオスを過渡期と信じて、好みや戦略に応じた餌木の選択を確立させられればと思う。